五郎大夫婆と重なる狼のはしご
どんな伝承か
昔、伯耆の米子の町に一人の山伏がいた。用事で日野郡の奥深くへ行った折、日は暮れ宿もなく困っていると、何者かが跡をつけてくる。月影に透かして見るとそれは狼だった。山伏は傍らの木に飛びついて上の枝へ登ったが、狼は仲間を集めて木を取り巻き、二、三十匹が肩に乗り重なって足許まで届こうとする。あと一匹足りぬと、下の狼が五郎大夫婆さんを呼びに走らせた。連れて来られた大狼が一番上に上がったところを、山伏は腰の脇差で切りつけ、狼の群れは逃げ去った。翌朝、隣村では五郎大夫婆が繃帯をして寝ていたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第11巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第11巻』は、山陰の鳥取・島根両県の伝説を集めた日本伝説大系の一巻である。矮姫による穀物の伝来、大山の山くらべ、伯耆の白兎、雲州皿屋敷、七尋女房、牛鬼、隠岐の後鳥羽上皇などを、伝承地を明記した口承の例話で示し、類話と近世以降の文献を添える。「文化叙事伝説」「自然説明伝説」の部に分けて話ごとに番号を付し、凡例のとおり例話・類話・文献・参考の順に並べ、多くの話に高木・柳田による伝説名を添える。