菊酒で蛇の子種を絶った猟師
どんな伝承か
裏山に住む猟師の喜八には、器量のよい娘がいた。その娘のもとへ小柄な若者が毎晩のように通い、やがて身ごもる。母親の知恵で着物の裾に麻糸を付けた針を縫いつけると、糸の先は蛇渕まで届いていた。怒った喜八が渕へ出向くと、鉄を受けては自分の命はないが、菊酒さえ飲まなければ子種は残る、という声が聞こえてくる。そこで娘に菊酒を飲ませたところ、蛇の卵のようなものを産み落とした。子を絶たれた蛇は蜘蛛に姿を変えて襲ってきたが、村の者たちの手を借りて焼き殺したという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第12巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第12巻』は、四国四県(香川・愛媛・徳島・高知)の伝説を話型ごとに集めた伝説集成の一巻である。神々の争いや大人の足跡、弘法大師の彫り残しや麦の種、英雄の誕生、長者、人柱、蛇聟、狼の報恩、化猫退治、首切れ馬、夜泣石、地蔵の霊験などを、町村誌や地方の伝説集、昭和五十三年度立命館大学説話文学研究会の採集調査稿から採る。百三十九話に通し番号を付け、各話に伝承地と出典、高木・柳田の分類名を添え、県別の〔類話〕と〔文献〕を続ける。