博打で無一文になった円野神社の弥五郎
どんな伝承か
山之口の弥五郎どんは、弥五郎・弥次郎・弥太郎という三人兄弟のいちばん上だったと語られる。弟の一人は志布志へ行く道筋にいるといい、原典は大隅町岩川八幡神社のことかと注記する。もう一人は飫肥の方、田之上八幡神社にいるという。円野神社の弥五郎は博打好きで、賭け事に銭をすっかり使い果たし、一文も持たない人だったと伝わる。十一月三日の弥五郎どんが出る日にも着るものがなく、布の衣裳のままで出た。飫肥の人たちは絹の衣裳を着ていたが、ここの弥五郎はいちばん貧しかったので、冬の寒い時も布の衣裳だったという。
原典より
弥五郎どんな、弥五郎、弥次郎、弥太郎て三人兄弟の人じゃったげな。—— 日本伝説大系 第14巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第14巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第14巻』は、熊本・宮崎・鹿児島の三県に伝わる伝説を集めた日本伝説大系の一巻である。阿蘇の大鯰や海幸山幸など神話に連なる話から、為朝・景清・人丸姫の伝承、長者や河童・狐の話、池の主や大蜘蛛退治、狩人と犬の話までを収める。各項目は口承を重んじた例話を冒頭に据え、梗概にした類話と、『肥後国誌』など近世以後の史料を原文で引く文献を続け、全体を文化叙事伝説と自然説明伝説の部に分ける。