鱗に覆われて池へ入ったお浪
どんな伝承か
熊本県球磨郡錦町で、美しい十六歳の娘・お浪が父親と霧島山に登った際、山頂の池に急に入りたいと言い出した。着物のまま水に入ると体に鱗が次々と生え、首まで浸かる頃には全身が鱗に覆われ、父が名を呼んで振り向いた顔はすでに恐ろしい蛇であったという。父親が持ち帰ったお浪の草履は、明治頃まで由留木の加茂神社に奉納されていたと伝わる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第14巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第14巻』は、熊本・宮崎・鹿児島の三県に伝わる伝説を集めた日本伝説大系の一巻である。阿蘇の大鯰や海幸山幸など神話に連なる話から、為朝・景清・人丸姫の伝承、長者や河童・狐の話、池の主や大蜘蛛退治、狩人と犬の話までを収める。各項目は口承を重んじた例話を冒頭に据え、梗概にした類話と、『肥後国誌』など近世以後の史料を原文で引く文献を続け、全体を文化叙事伝説と自然説明伝説の部に分ける。