水納島に葬られた鷹の墓所
どんな伝承か
鷹の墓所の由来として、昔、大和の人がただ一人水納島へ漂い着いて住みついていたところ、その人が飼い立てた鷹が湯の粉の袋を翼に懸けて飛んで来たと記す。大和人は袋を取って不思議の感涙を流し、指先を砕いてその血で硯と筆の二字を袋に書き、鷹を帰した。ほどなく鷹は硯と筆を翼に懸けて戻ったが、同じ島の石泊という浜に死んで寄り着いた。鷹が生きていれば文によって故郷と行き来もできたであろうに、そうもいかなくなったので、大和人は鷹の死骸を葬って手厚く弔った。その後も折々に鷹が飛んで来ては墓の上に舞い集まり、あの鷹の末が元祖の跡を尋ねて来るのかと、見る人は心を動かされたという。大和人の行方は知れないとある。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第15巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承))
『日本伝説大系 第15巻』所収の「文化叙事伝説」「自然説明伝説」全185話(奄美・沖縄=南西諸島)を、各話の伝承地(市町村〜字レベル)とともに収める。