為朝の矢跡に湧いた狩股の池
どんな伝承か
小野津には泉が二か所あり、その一つが狩股の池である。流されて喜界島に着いた鎮西八郎為朝は、小野津の泊に入る前に人の気配を探ろうと狩股の矢を射込んだ。何の騒ぎも起こらないのを見て船を寄せ、島で最初に言葉を交わした十七、八の機織りの娘を妻とした。二人のあいだには男の子が一人生まれ、為朝は二、三年を島で過ごしてから大島へ渡ったという。滞在のうちに、入港の前に放ったあの矢を探し出して引き抜くと、跡から清水がこんこんと湧き出した。その水をたたえるのが狩股の池だと伝わる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第15巻(山下欣一・遠藤庄治・福田晃(編集執筆)・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第15巻』は、山下欣一・遠藤庄治・福田晃が奄美・沖縄本島・沖縄先島の編集執筆を分担し、福田晃が全体をまとめた伝説集である。島々の口承伝説を、市町村の民話集や大学の口承文芸研究会の採集稿、近世の文献から集め、天地や人類の始まり、島建ての神、キジムナー、蛇婿、津波、御嶽や墓の由来などを収める。第一部「文化叙事伝説」と第二部「自然説明伝説」に分け、各話を例話・類話・文献・参考の順に並べ、類話は地域別に配列する。