漏池の大蛇に捧げられた娘
どんな伝承か
昔、屋良では漏池(ムルチ)から大蛇が出て、畑の作物を全部食べ、山羊や豚など数々の生き物も食われてしまった。屋良から公儀へ申し上げると、ユタは、十三、四のまだ男を知らない娘を生贄に供えれば蛇はその娘を食べて死に、雨も降ると言った。公儀は人を供えることをためらい、犠牲になる者の家には一生食べ物を与えるという高札を立てた。首里から屋良に来て貧しく暮らす母と娘と長男の三人のうち、長女が名乗り出た。弟が代わろうと争ったが姉が行くことになり、白衣装を着せて漏池で祈願していると、突然風が渦巻いて雨が降り、雷が鳴って大蛇は漏池で死んだ。娘は人徳があって難を免れ、母と長男には一生涯の食が与えられたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第15巻(山下欣一・遠藤庄治・福田晃(編集執筆)・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第15巻』は、山下欣一・遠藤庄治・福田晃が奄美・沖縄本島・沖縄先島の編集執筆を分担し、福田晃が全体をまとめた伝説集である。島々の口承伝説を、市町村の民話集や大学の口承文芸研究会の採集稿、近世の文献から集め、天地や人類の始まり、島建ての神、キジムナー、蛇婿、津波、御嶽や墓の由来などを収める。第一部「文化叙事伝説」と第二部「自然説明伝説」に分け、各話を例話・類話・文献・参考の順に並べ、類話は地域別に配列する。