馬に乗せた権現が照らした夜道
どんな伝承か
大晦日に、読谷の人が芋や野菜を売るため馬を引いて首里へ行った。帰る頃には日が暮れ、真っ暗で何も見えなくなった。そこへ権現様が来て馬に乗せてくれと言い、お宮の洞窟の前まで来ると降ろしてくれと言って権現洞へ入って行った。その時、権現様が「家に帰るまで明るく照らされて行くのがいいか、ほかに欲しい物があれば言え」と尋ねたので、読谷の人は暗くて歩けないから明るくしてほしいと願った。すると読谷に帰り着くまで明るかったという。それから読谷の人は九月になると空馬に鞍を置いて普天間まで拝みに来るようになり、決して馬を殺して食べなかったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第15巻(山下欣一・遠藤庄治・福田晃(編集執筆)・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第15巻』は、山下欣一・遠藤庄治・福田晃が奄美・沖縄本島・沖縄先島の編集執筆を分担し、福田晃が全体をまとめた伝説集である。島々の口承伝説を、市町村の民話集や大学の口承文芸研究会の採集稿、近世の文献から集め、天地や人類の始まり、島建ての神、キジムナー、蛇婿、津波、御嶽や墓の由来などを収める。第一部「文化叙事伝説」と第二部「自然説明伝説」に分け、各話を例話・類話・文献・参考の順に並べ、類話は地域別に配列する。