将門が再建し良門が父の像を納めた多名沢神社
どんな伝承か
武蔵国多摩郡相馬の保内に鎮座する多名沢神社は、延暦十二年に坂上田村麿が東夷征伐の軍神として八千鉾神を祀ったのに始まるといい、承平年中、平親王将門がこの地に仮の居城を構えたとき社頭を再建して祭祀を改めた。嫡子の将軍太郎良門が旧跡を訪ね、亡き父の形像を作って合殿に安置して以来、平親王将門社と号したという。同じ地の穴沢天神社は醍醐天皇の勅願所で、日本武尊が東征の帰りに北の谷に光が現れるのを尋ねてこの地に至り、神霊降臨の地として祭ったのが起こりだと伝える(寛永十六年の神主の書写)。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
将門伝説——民衆の心に生きる英雄(梶原正昭・矢代和夫・1966年(昭和41年))
『将門伝説——民衆の心に生きる英雄』は、梶原正昭と矢代和夫が一九六六年に著した平将門の伝説の研究書である。茨城県岩井町をはじめ各地の伝説地の踏査と、縁起・古記録・地誌をもとに、将門の怨霊と調伏、七人の影武者、子の良門や娘の如蔵尼、寵妃桔梗ら落人の行方、後裔を名告る家々、伝説の伝播と文芸化をたどる。序章と三篇からなり、巻末に青森県から鳥取県までの伝説分布と、寺社縁起など関係文献の抄録を附録として付す。