笑う将門の首と大手町の首塚
どんな伝承か
京で獄門に懸けられた平将門の首は、三年のあいだ目を閉じず、夜ごと笑って胴があれば今一度戦うと叫んだと語られた。藤六左近が、将門はこめかみを射られたのだ、俵藤太の謀りごとだ、と狂歌を詠むと、ようやく目を閉じたという。この怪異譚は各地に遺跡を生んだ。名古屋の熱田では貞盛が首を祀ったといい、美濃では飛ぶ首を神矢が射落としたと伝える。台東区浅草の鳥越も首が飛び越えた山の名だとされ、首が落ちたという芝崎村、いまの千代田区大手町には、首を洗った井戸と首塚があった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
将門伝説——民衆の心に生きる英雄(梶原正昭・矢代和夫・1966年(昭和41年))
『将門伝説——民衆の心に生きる英雄』は、梶原正昭と矢代和夫が一九六六年に著した平将門の伝説の研究書である。茨城県岩井町をはじめ各地の伝説地の踏査と、縁起・古記録・地誌をもとに、将門の怨霊と調伏、七人の影武者、子の良門や娘の如蔵尼、寵妃桔梗ら落人の行方、後裔を名告る家々、伝説の伝播と文芸化をたどる。序章と三篇からなり、巻末に青森県から鳥取県までの伝説分布と、寺社縁起など関係文献の抄録を附録として付す。