幸若舞曲信田と信太の里の将門後裔
どんな伝承か
将門の子将国は父の滅亡後に常陸の信太郡へ逃れ、子孫は七代にわたり信田を名乗ったと伝え、幸若舞曲『信田』はこの一族を主題とする。天暦十年、下野の小山太郎行重は相馬殿の姫を妻に迎え、将門の御台所は信田の庄の半分と地券を預けたが、小山は所領を横領して御台所と信田小太郎を追放する。母は呪詛で病死し、小太郎は人買い藤太に売られて外ヶ浜の塩焼きの下人となるが、領主に見出されて国司の信任を得、姉せんじゅと再会して小山を討ち、坂東八か国を安堵される。左眼に瞳が二つある貴種流離譚である。来迎寺は文国の出生地といい、美浦村大谷の西福寺と信太の普賢院は小太郎の祈願寺と伝える。相馬氏はこの信田の末裔を称した。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
将門伝説——民衆の心に生きる英雄(梶原正昭・矢代和夫・1966年(昭和41年))
『将門伝説——民衆の心に生きる英雄』は、梶原正昭と矢代和夫が一九六六年に著した平将門の伝説の研究書である。茨城県岩井町をはじめ各地の伝説地の踏査と、縁起・古記録・地誌をもとに、将門の怨霊と調伏、七人の影武者、子の良門や娘の如蔵尼、寵妃桔梗ら落人の行方、後裔を名告る家々、伝説の伝播と文芸化をたどる。序章と三篇からなり、巻末に青森県から鳥取県までの伝説分布と、寺社縁起など関係文献の抄録を附録として付す。