竹筒の水で乳が出る上富の乳垂松
どんな伝承か
三芳町上富の地蔵堂の境内にある古松を乳垂松という。高さ七、八丈、太さは四抱え余り。まっすぐ立った幹の中ほどからやや下に、婦人の乳房のような節瘤がいくつも出ているのでこの名がある。乳の出ない女性が、ここに吊るした竹筒の水を借りて家で飲めば乳がよく出るといわれ、願いが叶えば借りた竹筒を元の所へ返す習わしになっている。松には注連縄が張られ、たくさんの竹筒が吊るされている。
原典より
直立したこの樹の半ほどからやや下に婦人の乳房のような、節瘻がいくつとなく処々に出ている。—— 埼玉県伝説集成——分類と解説 上(韮塚一三郎・埼玉県伝説集成) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
埼玉県伝説集成——分類と解説 上(韮塚一三郎・埼玉県伝説集成)
『埼玉県伝説集成――分類と解説 上』は、韮塚一三郎が埼玉県内の伝説を類型ごとに集めて編んだ伝説集の上巻である。片目の魚、化かす狐や狸、松・杉などの樹木、石や岩、ダイダラ坊と山、清水・渕・池・井戸にまつわる県内各地の伝説を、郷土誌や地誌、『埼玉史談』などの文献と、地元の資料提供者や話者の報告から採って収める。各話に所在地と出典を添え、話型ごとに〈解説〉を置いて全国の類例と信仰の背景を論じ、[参考]文献を挙げる。