行基菩薩と鴨の池の清水
どんな伝承か
保土の島は水に乏しく、島でただ一つの泉は、山を七分ほど登った所にある「鴨の池」である。昔、行基菩薩がこの島に水がないのを憐れみ、水瓶に残っていた水をこぼしたところ、そこから清水が湧くようになったという伝説がある。今はこの泉から竹の管で水を引き、村の共同の水槽にためているが、その前では朝から晩まで女たちが順番を待っている。洗濯にはこの水は使えず、対岸の四浦まで船で行って洗ってくるという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第1巻(柳田国男・定本柳田国男集)
『定本柳田国男集 第1巻』は、柳田国男の著作を集めた著作集の一巻である。椰子の実の漂着から日本人の渡来と稲作を海の道に求める論考と、海神宮考・みろくの船・根の國の話・寶貝のこと・稻の産屋などの諸篇、大正期の南島旅行に基づく『海南小記』、昭和二十六年八月の自序をもつ『島の人生』を収める。いずれも海と島を舞台に、ニライカナイや宝貝、漂着や島の復興をめぐる民俗と歴史を論じている。