トップ > 東京都の伝承 > 中野区

嘉陵紀行の椰子の盃に見入る老婆

所在地東京都中野区
年代文化文政年間
登場村尾嘉陵
出典定本柳田国男集 第1巻

どんな伝承か

椰子の実の日本語はいつの昔からともなくヤシホであった。器物として利用されたのも年久しいことであろうに、近世になるまで依然として一種の珍奇であった。江戸叢書にも採録された『嘉陵紀行』は、村尾嘉陵という江戸の小吏が郊外の各処へ日帰りの旅をした日記を集めたもので、文化から文政にかけての十数年のことである。ある日、新井の薬師から江古田の村あたりを歩いて、路傍の休み茶屋の豆腐屋を兼ねた店先に腰を掛けると、その家の老婆がしきりに嘉陵の携えていたヤシホの盃に目を留め、名を尋ね知っていよいよ珍しがり、やがて奥へ入って一合ばかりの酒を求めて来て、召し上がった後で私にもその盃でいただかせて下さい、と言ったという。

地図で位置を見る

※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません

出典の文献について

定本柳田国男集 第1巻(柳田国男・定本柳田国男集)

『定本柳田国男集 第1巻』は、柳田国男の著作を集めた著作集の一巻である。椰子の実の漂着から日本人の渡来と稲作を海の道に求める論考と、海神宮考・みろくの船・根の國の話・寶貝のこと・稻の産屋などの諸篇、大正期の南島旅行に基づく『海南小記』、昭和二十六年八月の自序をもつ『島の人生』を収める。いずれも海と島を舞台に、ニライカナイや宝貝、漂着や島の復興をめぐる民俗と歴史を論じている。

種別から探す

椰子の実逸話茶店

中野区の伝承

同じ種別の伝承

同じ文献『定本柳田国男集 第1巻』の伝承