百按司の骨と青年将軍伝説
どんな伝承か
浦添城の石垣の上に立つと、干瀬の美しい東西の海が一度に見え、島の歴史の八百年が見える。嘉津宇嶽の向いの麓が運天の港で、そこには百按司の骨が朽ちて残っている。身長が六尺何寸、弓は三十人力という青年将軍が、大和から漕ぎ寄せてそこに上陸し、浦伝いにのっしのっしとやって来て、やがてこの下の牧港を出て還ってしまった。残波岬の波はその時分から今に至るまで、この島の女たちが眺めては泣くべき波であったという。恩納岳は東へ靡いて山の姿がしおらしく、その麓では女詩人の恩納なべが恋を歌い、また大王の徳を称えた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第1巻(柳田国男・定本柳田国男集)
『定本柳田国男集 第1巻』は、柳田国男の著作を集めた著作集の一巻である。椰子の実の漂着から日本人の渡来と稲作を海の道に求める論考と、海神宮考・みろくの船・根の國の話・寶貝のこと・稻の産屋などの諸篇、大正期の南島旅行に基づく『海南小記』、昭和二十六年八月の自序をもつ『島の人生』を収める。いずれも海と島を舞台に、ニライカナイや宝貝、漂着や島の復興をめぐる民俗と歴史を論じている。