ウヤンマー節の剽窃をめぐる伝承
どんな伝承か
沖縄の文人が先島の情緒を語るとき必ず挙げるのが、狂言ウヤンマーの一曲である。任期三年の八重山在番が、船出を前に仮の妻や幼子との別れを悲しむという筋だが、八重山の人々はこれを島の音楽の代表とは認めない。ウヤンマーは石垣の言葉ではなく、石垣ならカリヤヌアンマと言うはずであり、劇中の本物の歌二首も元は与那国のションガネ節で、沖縄の役人が赴任しなかった与那国で別の相手に向けた恋慕の歌を、史実に反して横取りしたものだという。柳田自身、与那国の女がこの歌を歌うのを実際に聴いたと証言している。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第1巻(柳田国男・定本柳田国男集)
『定本柳田国男集 第1巻』は、柳田国男の著作を集めた著作集の一巻である。椰子の実の漂着から日本人の渡来と稲作を海の道に求める論考と、海神宮考・みろくの船・根の國の話・寶貝のこと・稻の産屋などの諸篇、大正期の南島旅行に基づく『海南小記』、昭和二十六年八月の自序をもつ『島の人生』を収める。いずれも海と島を舞台に、ニライカナイや宝貝、漂着や島の復興をめぐる民俗と歴史を論じている。