駅の事故を鎮めるための庚申塔
どんな伝承か
我孫子駅の東口には大正十四年に建てられた庚申塔があり、その裏面に建てられたいきさつが刻まれている。それによれば、我孫子駅のあたりでは思いがけない死者がたびたび出ていた。ある駅員が信号所の近くでけがをしたので、そのいわれを尋ねてみると、そこはもと道陸神社の境内だった土地だと分かった。この社の祭神は幸神とも呼ばれる猿田彦大神で、祀れば災いを除き福を招くとされる。我孫子では鉄道が開通したとき道の神の祀りをせず、取手町のほうでそれを行ったが、不思議なことに取手駅では事故が少ない。こう考えた有志たちが亡霊を供養して塔を建て、いつまでも災いよけの祭りを続けることにしたという。
原典より
ある駅員は信号所付近で負傷したが、因縁を尋ねると、そこは道陸神社の元の境内であった。—— 我孫子市史 民俗・文化財篇(我孫子市・我孫子市史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
我孫子市史 民俗・文化財篇(我孫子市・我孫子市史)
『我孫子市史 民俗・文化財篇』は、市史の口承文芸の部分の抜き書きで、伝説の諸節と世間話の章が収められている。新木の二股竹、将門の井戸、藤姫の入水、七ツ塚、頸天神などの伝説を木・水・塚・祠堂・城跡と屋敷に分けて掲げ、奇人譚や河童・狐・偽汽車などの怪異・霊異譚を世間話として載せる。多くの話の後に、柳田國男らの説を引きつつ御霊や水神の信仰との関わりを考える解説を付し、末尾に本稿のまとめを置く。