老婆に産屋を借りて金で礼をしたヤマンシ
どんな伝承か
鎌瀬で、ヤマンシが人里に来て子を産んだ話を聞いた。ある日、柿迫村の老婆が一人で棲んでいる家に、三尺ほどの裸の女が訪ねてきて、自分はこんど初子を産むことになったが、初子は産が重いというから、小屋の隅でもいいから産室を貸してくれぬかと頼む。婆さんは気の毒に思って貸してやり、決して覗かぬという約束をした。一か月ばかり経ってまたその女が来て、お蔭で無事に産がすんだから山に帰る、御礼に金をあげるから、欲しい時はいつでもどこどこの木の下へ取りに来いといい残して立ち去った。行ってみると木の葉に金を包んで萱で結んであり、この金は婆さんにしか見えなかったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 1 河童・天狗・神かくし(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 1 河童・天狗・神かくし』は、松谷みよ子が編んだ現代民話の資料集である。明治以降を目安に、日本民話の会の『民話の手帖』での呼びかけやアンケート、聞書で全国から寄せられた話と、郷土誌や雑誌『旅と伝説』などからの引用を、県別に話者・回答者・出典を添えて並べ、奄美・沖縄のケンムンやブナガヤにも及ぶ。目次では河童・天狗・神かくしの三章の頭にそれぞれ「考」を置き、巻末に河童の名称、天狗・神かくし年表、あとがきを掲げる。