柏木の巻で岩と相撲をとった役場勤め
どんな伝承か
大正の頃の話。北川村柏木の川口栄助は役場勤めで、柏木から役場までおよそ四キロを朝夕歩いていた。ある年の暮れ、夜遅くなっても帰らないので、家の者や近所の者が松明を持って探しに行くと、柏木の巻の道路まで来たところで「サァ来い、サッ来い」という声がする。行ってみると、道の脇の大きな岩めがけて頭からぶつかっては倒れ、起き上がってはぶつかっているのが栄助で、頭から血まみれになっていた。皆でやっと取り押さえて連れ帰ると、小坊主が相撲を取ろうと言うから、負けるものかとやっていたのだと語ったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 1 河童・天狗・神かくし(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 1 河童・天狗・神かくし』は、松谷みよ子が編んだ現代民話の資料集である。明治以降を目安に、日本民話の会の『民話の手帖』での呼びかけやアンケート、聞書で全国から寄せられた話と、郷土誌や雑誌『旅と伝説』などからの引用を、県別に話者・回答者・出典を添えて並べ、奄美・沖縄のケンムンやブナガヤにも及ぶ。目次では河童・天狗・神かくしの三章の頭にそれぞれ「考」を置き、巻末に河童の名称、天狗・神かくし年表、あとがきを掲げる。