小坊主と相撲をとった儀三郎とエンコウ淵
どんな伝承か
北川村宗ノ上の上部落の生まれで、儀三郎という人がいた。明治の終わり、語り手が十七、八の頃のことである。儀三おじいの田は部落から奥へ千二百メートルほど行った所にあり、語り手も田植えの手伝いに行っていた。おじいが水を見てくると言って一人で出かけ、やがて戻ってきたのを見ると、顔も手も足も血だらけで、阿呆のようになっていた。聞くと、小坊主が相撲を取ろうと言うので取っていたのだという。それから少し頭がぼけてしまった。以来そこを「エンコウ淵」と呼ぶようになったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 1 河童・天狗・神かくし(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 1 河童・天狗・神かくし』は、松谷みよ子が編んだ現代民話の資料集である。明治以降を目安に、日本民話の会の『民話の手帖』での呼びかけやアンケート、聞書で全国から寄せられた話と、郷土誌や雑誌『旅と伝説』などからの引用を、県別に話者・回答者・出典を添えて並べ、奄美・沖縄のケンムンやブナガヤにも及ぶ。目次では河童・天狗・神かくしの三章の頭にそれぞれ「考」を置き、巻末に河童の名称、天狗・神かくし年表、あとがきを掲げる。