選挙帰りの男に降った羊歯の雪
どんな伝承か
熊本県芦北郡湯浦村の話。ついこの間、農業委員の選挙の帰りに、ある村の男が一杯飲んで夜の山道を通っていると、急に山に雪が降り出した。今ごろ雪が降るのはおかしいと思い、手に取って少し食べてみると、自分の体が動かなくなった。そこで一生懸命に山の神に祈ると、また歩けるようになった。夜が明けてやっと家に辿り着き、珍しいからと大事に持ち帰った雪をよく見ると、それはヘゴ(羊歯)の葉であった。ヤマワロに騙されていたのである。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 1 河童・天狗・神かくし(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 1 河童・天狗・神かくし』は、松谷みよ子が編んだ現代民話の資料集である。明治以降を目安に、日本民話の会の『民話の手帖』での呼びかけやアンケート、聞書で全国から寄せられた話と、郷土誌や雑誌『旅と伝説』などからの引用を、県別に話者・回答者・出典を添えて並べ、奄美・沖縄のケンムンやブナガヤにも及ぶ。目次では河童・天狗・神かくしの三章の頭にそれぞれ「考」を置き、巻末に河童の名称、天狗・神かくし年表、あとがきを掲げる。