夜の往還で追いつかない自転車のベル
どんな伝承か
上益城郡小峰村での話。原田という若い青年が語ったところによると、子供の頃、父親に連れられて馬見原往還を夜通し歩いたことがある。寂しい夜更けであったが、山の中で木を伐る音がした。父親は、あれはガワッパの仕業だと教えてくれた。やがて自転車のベルの音が後ろから聞こえてきた。ところが、いつまでたっても自転車は歩いている自分たちに追い付かない。あの音もガワッパだったのだと、父親が後で話してくれたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 1 河童・天狗・神かくし(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 1 河童・天狗・神かくし』は、松谷みよ子が編んだ現代民話の資料集である。明治以降を目安に、日本民話の会の『民話の手帖』での呼びかけやアンケート、聞書で全国から寄せられた話と、郷土誌や雑誌『旅と伝説』などからの引用を、県別に話者・回答者・出典を添えて並べ、奄美・沖縄のケンムンやブナガヤにも及ぶ。目次では河童・天狗・神かくしの三章の頭にそれぞれ「考」を置き、巻末に河童の名称、天狗・神かくし年表、あとがきを掲げる。