夜明け前に響く斧と倒木の音
どんな伝承か
毎晩、夜明け近くの三時か四時ごろになると、木を倒す音が聞こえてくる。カポンカポンと斧を幾度か打ち込む音がして、やがてザア、ザアと木の倒れるすさまじい音がする。近くで鳴ると身がすくむほどだが、朝その場所へ行っても何の異常もない。ときには屋根の上に木の葉が激しく散りかかるようなパラパラという音もし、小屋の周りの葉が一枚残らずむしられたかと思うほどだが、朝になると何事もない。実に不思議だと樵は語る。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 1 河童・天狗・神かくし(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 1 河童・天狗・神かくし』は、松谷みよ子が編んだ現代民話の資料集である。明治以降を目安に、日本民話の会の『民話の手帖』での呼びかけやアンケート、聞書で全国から寄せられた話と、郷土誌や雑誌『旅と伝説』などからの引用を、県別に話者・回答者・出典を添えて並べ、奄美・沖縄のケンムンやブナガヤにも及ぶ。目次では河童・天狗・神かくしの三章の頭にそれぞれ「考」を置き、巻末に河童の名称、天狗・神かくし年表、あとがきを掲げる。