糸をたどった先の祖母山の洞穴
どんな伝承か
大野郡清川村の塩田太夫の娘、花本姫は評判の美しさで、別室に住まわされ男を近づけなかった。ところが十八の春、どこからともなく現れた若者が姫に語りかけるようになり、姫はその求愛を受け入れる。身ごもったのを知った両親は、狩衣の裾に針と糸を刺させて跡をたどらせた。糸は祖母山麓の暗い洞穴に続いており、中からうめき声が聞こえた。正体は大蛇で、自分は死ぬが姫の産む男児は武将となり一家は栄えると告げたという。
原典より
大野郡清川村に住む塩田太夫の娘花本姫は、たいへん美しくて、両親の愛情も格別だった。—— 日本伝説大系 第13巻(山中耕作・宮地武彦(執筆・整理)/荒木博之(解説)・日本伝説大系(みずうみ書房)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第13巻(山中耕作・宮地武彦(執筆・整理)/荒木博之(解説)・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第13巻――北九州(福岡・大分・佐賀・長崎)』は、福岡・大分を山中耕作、佐賀・長崎を宮地武彦が執筆・整理し、荒木博之が解説を担った伝説資料集の一巻である。姫島、うつぼ舟、百合若大臣、黒髪山の大蛇退治、平家谷、炭焼小五郎、河童、白米城など、北九州四県に伝わる伝説を題目ごとに収める。各題目は口承を重んじて選んだ例話を冒頭に据え、県別の類話を梗概にして伝承地と出典名を添え、近世以後の史料を文献として抜き出す編み方をとる。