使いの夜道で見た胸の光る赤い火
どんな伝承か
大宜味村喜如嘉の話し手が十一歳だった、四十年ほど前のこと。大嶺屋に住む叔父の景太郎さんに煙草を買ってくるよう言いつけられ、夜十時過ぎに金城屋へ向かった。月もなく雨雲の垂れこめた暗い夜で、途中の新金城家の真ん前に赤い火が見えた。高さは五、六十センチほどで、胸のあたりの光が強かった。人とは違って顔が短く、横に這うような感じで、髪も垂れているようだった。じっとしていて、赤というより黒っぽく感じられたという。怖くなってそっと逃げ出し、二、三秒ほどで前を通り過ぎたと語っている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 1 河童・天狗・神かくし(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 1 河童・天狗・神かくし』は、松谷みよ子が編んだ現代民話の資料集である。明治以降を目安に、日本民話の会の『民話の手帖』での呼びかけやアンケート、聞書で全国から寄せられた話と、郷土誌や雑誌『旅と伝説』などからの引用を、県別に話者・回答者・出典を添えて並べ、奄美・沖縄のケンムンやブナガヤにも及ぶ。目次では河童・天狗・神かくしの三章の頭にそれぞれ「考」を置き、巻末に河童の名称、天狗・神かくし年表、あとがきを掲げる。