小石で見破った大川と土手の狸のすね
どんな伝承か
話者が母から聞いた、小坂の百姓だった祖父の話。一度は、川などあるはずのない所がすさまじい大川になって見えた。おかしいと思ってそばの小石を投げると、水音ではなくカーンと跳ね返る音がしたので、化かされていると気づき、川は見えなくなったという。また夜の小道を歩いていると、針金のような剛毛の生えた太いすねが二本、道をふさぐように突き出していた。そっと左を見ると、笠をかぶった小さな目の小さな体が土手に腰かけ、すねだけを前に伸ばしている。狸だと思った途端、見破られて消えてしまったという。
原典より
手平の短歌の先生とこへ行ったとき遅なってしもうてのう、先生に送ってもろうたんやが、あっこらさぶしいとこでのう、ドブのはたにお地蔵さんがあったんえ、そのお地蔵さんの一寸向うにうどんて書いた赤いちょうちんがつっちゃあって、そ…—— 現代民話考 11 狸・むじな(松谷みよ子・現代民話考・1995年(平成7年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 11 狸・むじな(松谷みよ子・現代民話考・1995年(平成7年))
『現代民話考 11 狸・むじな』は、松谷みよ子が一九九五年(平成七年)に編んだ現代民話の資料集である。明治から現代までに各地で語られた狸・むじなの話を、聞き書き、読者の回答、郷土誌や民話集、新聞記事から集める。狸火、腹つづみ、音まね、いたずら、化かし、たたり、人助け、戦争にいった狸、今の暮しなど十二の部に分け、話例ごとに本文と類話の「分布」を添え、巻頭に序文と前文、巻末にあとがきを置く。