死んだ牛を担ぐ掛け声をまねる狸
どんな伝承か
美馬郡三島村大字小島の吉坂忠之助が、三好郡加茂村の山あいに住む知人の家に泊まったときの話。昼のうち、山の上からエイサホイという掛け声が近づき、四、五人の男が死んだ牛を担いで里へ下りていった。その晩、家の者が寝静まったころ、同じ掛け声が山の上から聞こえ、次第に近づいて騒がしくなった。夜更けにまた牛が死んだのかと不思議に思い、主人を起こして尋ねると、主人は耳をすまし、あれは昼に牛を担いでいったのを狸がまねているのだと言って、また寝てしまった。翌日聞くと、この辺りの狸はよく人まねをするので珍しくないとのことだった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 11 狸・むじな(松谷みよ子・現代民話考・1995年(平成7年))
『現代民話考 11 狸・むじな』は、松谷みよ子が一九九五年(平成七年)に編んだ現代民話の資料集である。明治から現代までに各地で語られた狸・むじなの話を、聞き書き、読者の回答、郷土誌や民話集、新聞記事から集める。狸火、腹つづみ、音まね、いたずら、化かし、たたり、人助け、戦争にいった狸、今の暮しなど十二の部に分け、話例ごとに本文と類話の「分布」を添え、巻頭に序文と前文、巻末にあとがきを置く。