宿直の先生の声をまねるむじな
どんな伝承か
長野県朝日村の朝日小学校は、明治四十二年に村の統一学校として、集落から離れた原の中に建てられた(いまは公民館になっている)。夜は宿直の先生と小使いの年配の女性だけになり、宿直は近くの集落の若い先生がよく頼まれた。その先生は夜遅く来ては玄関で「おばあ、おばあ」と呼び、小使いの女性が戸締まりを外して入れていた。これを覚えたむじなが、ときどき先生の声色で呼ぶようになり、女性が出てみても月の光が差しているだけだったという。大正の初め頃には広く知られた話だった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 11 狸・むじな(松谷みよ子・現代民話考・1995年(平成7年))
『現代民話考 11 狸・むじな』は、松谷みよ子が一九九五年(平成七年)に編んだ現代民話の資料集である。明治から現代までに各地で語られた狸・むじなの話を、聞き書き、読者の回答、郷土誌や民話集、新聞記事から集める。狸火、腹つづみ、音まね、いたずら、化かし、たたり、人助け、戦争にいった狸、今の暮しなど十二の部に分け、話例ごとに本文と類話の「分布」を添え、巻頭に序文と前文、巻末にあとがきを置く。