父を頼むと枕元に来た水兵
どんな伝承か
姶良郡在住の桐原忠利は、ある夜、水兵服姿の桂木房雄が枕元に立ち、『父が病身なので、どうか代わって世話をしてほしい』と告げる夢を見た。房雄は竹馬の友であり実の兄弟同然に育った親友義綱の長男で、先月応召したばかりであった。父の義綱は朝鮮で鉱山監督として勤務中に病を得て帰郷し、寝たきりの身であった。桐原は妻にだけそっと夢の話をし、日時を書き留めておいた。数日後、案じていた戦死公報が届くと、その戦死の日はまさに房雄が夢に現れた日と一致していた。桐原は霊魂の働きに驚きながら、父の代わりとして遺骨の受け取りから町葬、埋葬までを務めた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 4 夢の知らせ・火の玉・ぬけ出した魂(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 4 夢の知らせ・火の玉・ぬけ出した魂』は、松谷みよ子が編んだ「現代民話考」の一冊である。日本民話の会の雑誌『民話の手帖』のアンケートへの回答や聞き書き、新聞・雑誌の記事から集めた、予知夢や死の知らせの夢、死者や神仏の夢告げ、死の前後に出る火の玉、生きている人から抜け出す魂の話を各地から収める。三章それぞれの冒頭に編者の論考「考」を置き、項目ごとに代表的な語りと、県別に並べた短い報告を話者・回答者・出典を添えて載せる。