伊香保記に見えるひともっこ山
どんな伝承か
榛名の巨人と富士山の巨人が山づくりを競ったという話は古くから知られている。寛永十六年の伊香保紀行を記した『伊香保記』には、榛名富士は一夜のうちに湧き出た山で、伊香保の沼の土を取って築いたために沼は山の高さほど深いのだと記され、夜が明けてしまったので投げ捨てた土が、富士の裾にある「ひともっこ」という小さな山になったと語られている。県史は、今も民間に伝わるひともっこ山の伝説がすでに江戸初期に語られていたことを示す記録として、この話の古さに注目している。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
群馬県史 資料編 27(群馬県史)
『群馬県史 資料編 27』は、群馬県の県史の資料編の一冊で、収めるのはその「第三章 伝説」である。伝説の定義と分類、『神道集』や近世の地誌から明治以降の郡村誌・伝説集に至る県内の調査の歩みを述べ、赤城と日光の神戦、赤堀道元の娘と木部姫の入水、文福茶釜、羊太夫、弘法伝説などを群馬の伝説の特色として論じる。続いて代表例を自然的・社会的・信仰的伝説の三つに分け、各地の口承と古記録を伝承地を添えて並べる。