伊勢参りをした石の坂東太郎
どんな伝承か
昔、坂東太郎という者が伊勢参りに出かけ、七日ほど旅館に泊まって遊んだが、宿賃を払わずに自分の村へ帰ってしまった。困った宿の人は、太郎が住んでいると話していた村を訪ねたが、そんな人は誰も知らないという。せめてと聞いていた場所へ行ってみると、そこには石があり、石の上に縞模様の財布が置かれ、中に七日分の宿賃が入っていた。この石が坂東太郎で、人の姿になって伊勢へ旅したのだろうと語られる。坂東太郎は雄石といい、向かいの石を雌石という。雌石を切ろうとした近くの石屋は、石に近づくと足が痛んで歩けなくなり、どの石屋もそうなったので、誰もこの石を切ろうとしなくなった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
群馬県史 資料編 27(群馬県史)
『群馬県史 資料編 27』は、群馬県の県史の資料編の一冊で、収めるのはその「第三章 伝説」である。伝説の定義と分類、『神道集』や近世の地誌から明治以降の郡村誌・伝説集に至る県内の調査の歩みを述べ、赤城と日光の神戦、赤堀道元の娘と木部姫の入水、文福茶釜、羊太夫、弘法伝説などを群馬の伝説の特色として論じる。続いて代表例を自然的・社会的・信仰的伝説の三つに分け、各地の口承と古記録を伝承地を添えて並べる。