鉈を追って竜宮へ行った阿感坊
どんな伝承か
宮子の前原の斎藤氏の先祖は、非常に神信心の厚い人であった。ある日、竜宮島のところへ藤つるを切りに行ったところ、誤って鉈を川の中へ落としてしまった。鉈は水の中によく見えるので取りに行くうち、だんだん深みに入り、とうとう竜宮へ行きついたという。その人は竜宮に三日いたつもりでいたが、実は三年たっており、家へ帰ってみるとちょうど三年忌をしていて、親類が集まってにぎやかであった。この人が、ロロ相承竜宮本紀の中にみえる阿感坊であるといわれている。阿感坊は竜宮で乙姫から観音様、瑪瑙、玉手箱の三品をもらい、観音様は竜宮様へ、瑪瑙の玉は宮子神社へ、玉手箱は斎藤家へ持って行けといわれたと伝わる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
群馬県史 資料編 27(群馬県史)
『群馬県史 資料編 27』は、群馬県の県史の資料編の一冊で、収めるのはその「第三章 伝説」である。伝説の定義と分類、『神道集』や近世の地誌から明治以降の郡村誌・伝説集に至る県内の調査の歩みを述べ、赤城と日光の神戦、赤堀道元の娘と木部姫の入水、文福茶釜、羊太夫、弘法伝説などを群馬の伝説の特色として論じる。続いて代表例を自然的・社会的・信仰的伝説の三つに分け、各地の口承と古記録を伝承地を添えて並べる。