淵の主の子を産んだ娘を祀る蛇塚
どんな伝承か
いつの頃か、萩原の里のくしが下に、美しい三人姉妹のいる百姓家があった。末娘はとりわけ美しく、やがて毎日きれいな姿で通ってくる恋人ができた。家の者はその若者にぞっとする冷たさを感じ、ある晩ひそかに糸を通した木綿針を若者の袖に付けた。翌日糸をたどると箱だたみの淵に行き着き、若者は淵の主だったと知れた。若者はそれきり来なくなったが、娘は身ごもり、生まれたのは蛇の子ばかりで、娘もまもなく死んだ。娘を祀ったのが蛇塚で、困ったときは蛇塚を掘れという言い伝えに従い祖父の代に掘ると、大きな御影石が出てきたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
長野県史 民俗編 第3巻 3 (中信地方 ことばと伝承)(長野県史)
『長野県史 民俗編 第3巻(三) 中信地方 ことばと伝承』は、長野県史の民俗編のうち中信地方の巻から、伝説の章を抜き出したものである。木・石・水・塚・坂と道・城と屋敷・田と原・地蔵や観音・社寺・地名・禁忌などに分けて、松本・塩尻・安曇野・大町・北安曇・木曽に伝わる言い伝えを短い条で並べる。抜き出しの際に多くの条から採集地の表示が落ちており、土地の名が本文に書かれない条も少なくない。