夢のお告げで膳椀を貸した竜宮淵
どんな伝承か
聖川に竜宮淵という淵がある。昔、田野口の宮の下の集落は小山村から分かれたばかりの六、七軒の貧しい村で、人寄せのたびに膳や椀を本村から借りていた。ある晩、村長の夢に、欲しい道具と数を紙に書いて淵の渦へ投げ込めば翌朝までにそろえてやるというお告げがあった。不幸があった時、二通書いた一通を淵へ投じると紙は渦に消え、翌朝には道具がそろっていた。礼を言って返すと翌日には消えていた。ところがある年、椀を一つ欠いたのをごまかして返すと貸してもらえなくなり、主を祀って皆で詫びると再び貸してくれたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
長野県史 民俗編 第4巻 3 (北信地方 ことばと伝承)(長野県史)
『長野県史 民俗編 第4巻(三)北信地方 ことばと伝承』は、長野県史の民俗編のうち北信地方の伝説の章を抜き出したものである。植物・石・水・塚・坂と峠・山・沢と道・城と屋敷・田と原・地蔵や観音・社寺・地名・禁忌の順に、条ごとに採集地を添えて短い伝えを並べる。戸隠の鬼女紅葉、黒姫と大沼池の大蛇、久米路橋の人柱、秋山郷の平家伝説など、善光寺平から奥信濃にかけての土地に結びついた話が多い。