五寸釘で封じた高山寺の竜
どんな伝承か
高山寺の観音堂の正面高くに、左甚五郎の作と伝わる竜の彫り物が掛けられている。昔、夜ごとに怪しい響きが起こり、朝になると堂の東の麻畑が踏み荒らされ、畑一面が水浸しになっていた。何者かの仕業に違いないと考えた和尚が、日暮れから本堂に身を潜めて見張っていると、夜更けに彫り物の竜が抜け出して寺の下の大門池(大名池とも)へ行き、水をたらふく飲んでは暴れ回り、麻畑へ激しく吹きかけていた。和尚は本尊を供養し竜神に祈ったうえで、竜の頭に五寸釘を打ち込んで動けなくした。それからは竜が畑を荒らすことはなくなったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
長野県史 民俗編 第4巻 3 (北信地方 ことばと伝承)(長野県史)
『長野県史 民俗編 第4巻(三)北信地方 ことばと伝承』は、長野県史の民俗編のうち北信地方の伝説の章を抜き出したものである。植物・石・水・塚・坂と峠・山・沢と道・城と屋敷・田と原・地蔵や観音・社寺・地名・禁忌の順に、条ごとに採集地を添えて短い伝えを並べる。戸隠の鬼女紅葉、黒姫と大沼池の大蛇、久米路橋の人柱、秋山郷の平家伝説など、善光寺平から奥信濃にかけての土地に結びついた話が多い。