竜になった八之太郎と南祖坊の湖争い
どんな伝承か
昔、鹿角郡の久内の子八之太郎は、背が高く力の強い若者で、山で鳥獣を獲って暮らしていた。仲間と十和田に来て炊事番をしていたとき、谷で岩魚三匹を捕って焼いて食べると、ひどく喉が渇き、水を飲み続けるうちに竜になってしまい、水をたたえて十和田湖を住みかとした。のちに、熊野権現の霊夢で鉄の草鞋を授かり、緒の切れた所を住みかとせよと告げられた南祖坊が十和田で緒が切れ、竜となって湖に入った。二頭は七日七夜戦い、敗れた八之太郎は八郎潟の主となった。途中、毛馬内で米代川をせき止めようとしたが、鹿角の諸神に石を投げられて追われ、毛馬内町のはずれの石塊はそのときのものだという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
講座日本風俗史別巻 妖異風俗((講座日本風俗史 別巻)・日本風俗史・民俗)
『講座日本風俗史別巻 妖異風俗』は、『講座日本風俗史』の別巻として、複数の執筆者が妖しく異様な風俗を論じた巻である。淫祠と性の祭礼、戦後の新興宗教、性にまつわる迷信、妖術・忍術・奇術、憑きものと特殊家系、心霊術と催眠術、異類との婚姻、性と怪異の関わりを、古典の随筆や各地の報告、事件の記録から取り上げる。九つの章に分け、終章「日本妖異風土記」では関東から九州・沖縄までの怪異譚を地方別・県別に掲げる。