春日の神が寺を求めた菩提山の光
どんな伝承か
一条天皇が春日神社に参詣し、奈良に泊まられた夜のこと、南の方角から光が射した。天皇の命で藤原道長が確かめさせると、白髪の老人が現れ、自分は春日の神であり、夜はこの山に来て国を守っている、この山は仏法の聖地であるから寺を建てて玉体を安んぜよ、と告げて姿を消した。続いて九つの頭を持つ竜が現れ、これもたちまち消えた。道長がその次第を奏上したので、天皇は藤原兼俊に命じて寺を建てさせた。それが今の正暦寺であるという。
原典より
一条天皇が春日神社に参詣され、奈良に宿泊された夜、南から光が射したので、藤原道長に調べさせたところ、白髪の老人が出て来て「われは春日の神である。—— 奈良市史 民俗編――伝説(奈良市(編)・奈良市史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
奈良市史 民俗編――伝説(奈良市(編)・奈良市史)
『奈良市史 民俗編――伝説』は、自治体史『奈良市史』民俗編のうち、第十一章「伝説」と巻末の「民俗資料」の冒頭を収めたものである。昭和三十七年から三か年にわたり市内各町の自治会長や古老、社寺を訪ねて集めた伝説に文献の伝えを加え、春日大社・東大寺・興福寺などの社寺や、吉備真備・俊寛・中将姫らゆかりの人物にまつわる話を収める。木・石・塚・水・山・森・社寺・人物・動植物・町名の十節に分け、一話ごとに題を立てて記す。