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奈良の宿で夜具に手をかけた大坊主

所在地奈良県奈良市
年代明治27年
登場悟道軒円玉
出典日本怪談実話

どんな伝承か

明治二十七年、日清戦争の当時、悟道軒円玉翁は友人二三人と関西へ遊びに行き、奈良の旅籠に泊まった。翁は酒も飲まず感冒気味だったので、皆が騒ぐのを余所に奥座敷の六畳で先に寝た。ふと目を覚ますと、白地に浅黄色の格子縞の浴衣を着た大坊主が夜具の端へ手をかけていた。翁は友人が按摩を頼んでくれたと思い「もういいよ」と断ると、坊主は何も言わず部屋を出て行った。翌朝、友人は按摩など頼んでおらず、宿にも坊主の客はいなかった。午後、半丁ほど離れた銭湯の女将に「昨夜何かございましたか」と問われ、初めて大坊主の正体に見当がついた。

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※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません

出典の文献について

日本怪談実話(田中貢太郎・河出文庫・1938年(昭和13年))

『日本怪談実話』は、田中貢太郎が昭和十三年に著した実話怪談集を河出文庫に収めたものである。明治以降に著者が聞き集めた怪異を報告調の短文で綴り、戦地の霊験や戦死者の知らせ、狐狸・天狗・海坊主、トンネルや自動車に現れる女、幽霊写真、狐狗狸などを扱う。元本は改造社刊の『新怪談集(実話篇)』で、冕言に始まって二百を超える小話を並べ、巻末に川奈まり子の解説を付す。

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