身投げを誘う大阪城ゆかりの蛙石
どんな伝承か
元興寺極楽坊の境内に、蛙の姿をした大きな石が置かれている。昭和三十三年七月に大阪城から移されてきたものである。蛙は福が返る、客を招くと喜ばれるのが普通だが、この石だけは逆に人を死へ誘う石として恐れられてきた。もとは大阪城の北西の隅で堀のほうを向いて据わっていたが、石の上に立つと堀へ飛び込みたくなるといわれ、実際ここから身を投げる者が後を絶たなかったため、からたちの垣で二方を囲っていたという。よそで身を投げても、亡骸はこの石のそばに浮かんでくるとまで言われた不思議な石である。
原典より
元興寺極楽坊内に蛙の形をした大石がある。—— 奈良市史 民俗編――伝説(奈良市(編)・奈良市史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
奈良市史 民俗編――伝説(奈良市(編)・奈良市史)
『奈良市史 民俗編――伝説』は、自治体史『奈良市史』民俗編のうち、第十一章「伝説」と巻末の「民俗資料」の冒頭を収めたものである。昭和三十七年から三か年にわたり市内各町の自治会長や古老、社寺を訪ねて集めた伝説に文献の伝えを加え、春日大社・東大寺・興福寺などの社寺や、吉備真備・俊寛・中将姫らゆかりの人物にまつわる話を収める。木・石・塚・水・山・森・社寺・人物・動植物・町名の十節に分け、一話ごとに題を立てて記す。