マタギ佐多六と忠犬シロの巻物
どんな伝承か
旧南部領だった今の鹿角市十和田の草木というところに、代々佐田犬と名のるマタギがいた。なかでも十七代の佐多六は腕がすぐれ、領主南部信直から天下御免の狩猟免状をもらっていた。ある日、手負いの猪を追って三戸城の近くまで行ったところ、城に向けて発砲したとがめを受けたが、その日にかぎって巻き物を家に忘れており、取り調べのうえ死罪と決まった。主人の危機を知った愛犬シロは家に駆けつけて巻き物を運んだが、城に着いたときにはすでに刑場の露と消えていた。所払いになった妻はシロとともに秋田領十二所の葛原に住みつき、のちに山腹で白骨となって見つかったシロの霊を慰めて老犬神社を建てたのが始まりだという。
原典より
旧南部領だった今の鹿角市十和田の草木というところに、代々、佐田犬と名のるマタギがいた。—— 日本伝説大系 第2巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第2巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第2巻』は、岩手・宮城・秋田の三県に伝わる伝説を話の型ごとに集めた伝説資料集である。山の争いや沼の主の手紙、巨人の足跡、八郎太郎、ザシキワラシ、河童、掃部長者などの伝説を、口承の聞き書きと近世以降の地誌・縁起から採る。凡例のとおり各項は伝承地を示した例話を冒頭に据え、〔類話〕〔文献〕〔参考〕を続け、柳田・高木による話型名を添えた項もある。