蜻蛉が導いた甘露の泉と長者
どんな伝承か
今は昔、出羽国の独鈷村に気立てのやさしい美しい乙女が住んでいた。ある夜、夢に老翁が現れ、お前の夫となるべき男はこの川上の小豆沢にいる、そこへ尋ねて行って夫婦になれば必ず幸福になれると告げた。娘は翌朝旅装を整えて小豆沢村へ行き、その男と夫婦になって仲睦まじく暮らした。ある年の元日の夜、ふたたび夢に大日神霊が現れ、川上へ移って耕作の大祖となれと告げたので、夫婦は米代川の川上の田山村の奥の平間田に住まいを定めた。ある日、昼寝をしていた男の鼻に蜻蛉が尾を触れ、甘い酒を飲む夢を見た。妻が蜻蛉の飛んできた方へ行くと、岩間から芳しい泉が湧いていた。夫婦はたちまち長者となり、蜻蛉にちなんでだんぶり長者と呼ばれたという。
原典より
<柳田——「蜻蛉長者」>今は昔、出羽国(北秋田郡) 独鈷村に一人の気立の優しい美しい乙女が住んで居りました。—— 日本伝説大系 第2巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第2巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承))
『日本伝説大系 第2巻』所収の「文化叙事伝説」64話(岩手・宮城・秋田)を、各話の伝承地(市町村〜字レベル)とともに収める。