独鈷の娘と酒の湧く泉
どんな伝承か
昔、小豆沢を流れる米代川の川下、独鈷の村に親孝行な娘がいた。ある晩、枕もとに白髪の老人が立ち、川上で柴を刈っている若者の嫁になれと告げて消えた。娘はその若者と出会い、夫婦になる。やがて正月に大日如来が現れ、さらに川上へ移れというので、二人は川をさかのぼり、平間田という所に住み着いた。よく晴れた日、畑仕事の昼休みに若者がうとうとしていると、一匹のダンプリが飛んできて、口に尾を差し入れては戻ることを二度三度くり返した。目を覚ました若者が甘い酒を飲んだ心地だというので、妻がその方角へ行ってみると、香りのよい酒の湧く泉があった。飲めば疲れが消え、二人は人にも分け与えて大金持になったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第2巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第2巻』は、岩手・宮城・秋田の三県に伝わる伝説を話の型ごとに集めた伝説資料集である。山の争いや沼の主の手紙、巨人の足跡、八郎太郎、ザシキワラシ、河童、掃部長者などの伝説を、口承の聞き書きと近世以降の地誌・縁起から採る。凡例のとおり各項は伝承地を示した例話を冒頭に据え、〔類話〕〔文献〕〔参考〕を続け、柳田・高木による話型名を添えた項もある。