白紙を飲まされ発狂した日雇いの女
どんな伝承か
秋田県大館市の南畑町に住む日雇いの佐々木キヨ(五八)は、前年の昭和二九年六月に脳溢血で倒れ、同市向町の石塚医院で軽い病状、六か月ほどで全治すると診断された。しかし中学三年の娘を抱えて女手ひとつで暮らしてきたキヨは回復を焦り、同年冬、同市谷地町後の某女(三九)から話を聞いて新興宗教への入信を勧められた。某女は一尺四方ほどの白紙と粉菓子を二回にわたって護符として与え、いっしょに飲み下せば悪霊が払われて健康が回復すると教えた。病状は改まらず、「罪障がおりないからだ」と戒められ続けたキヨは毎日それを気に病み、ついに発狂した。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代の迷信(今野圓輔・現代教養文庫・1961年(昭和36年))
『現代の迷信』は、今野圓輔が昭和三十六年に著した、現代の俗信を一般の読者に向けて説いた読み物である。昭和三十年代の新聞・雑誌の報道や聞き書きを主な材料に、縁起かつぎ、前兆・占い・禁忌・まじない・願掛け、憑きもの落としの殺人や新興宗教の騒ぎまでを全国から拾い集めている。「現状」「過誤と真実」「その背景」「迷信論」の四部から成り、巻末に読者の問いに答える迷信身の上相談を付ける。