水行の末に腹へ神が宿った北村サヨ
どんな伝承か
山口県田布施町の北村サヨは、一九四二年夏のある夜、家の離れが原因の分からない火事に遭い、農具や家財を失った。農業をやめるべきか相談に行った神官から、火事は放火で、一年神参りを続ければ犯人が現れると告げられた。サヨは毎晩一時半ごろに起きて水を浴び、氏神の八幡宮へ参り続け、やがて犯人のことも忘れて丑の刻参りと水行に打ち込んだ。一九四四年五月四日から、腹の中に神が入って語る声が聞こえるようになり、何でも教えるその声に従ううち、わが身が自分の思うようにならなくなったという。サヨはのちに天照皇大神宮教の教祖となった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本の憑きもの(吉田禎吾・民俗・憑きもの研究・1972年(昭和47年))
『日本の憑きもの』は、吉田禎吾が一九七二年に著した人類学の研究書である。キツネ・イヌガミ・オサキなどの憑きもの信仰と、それを家筋で伝える憑きもの筋を、島根・高知・大分などの村での調査事例と古記録をもとに取り上げ、アフリカやヨーロッパの邪術・妖術と比べて論じる。三章立てで、憑きものの正体と特色、憑きもの筋の形成と伝播、憑きものが村落社会で果たす働きを順に述べ、注とあとがきを付ける。