早口沢の奥に住む鬼童
どんな伝承か
山の奥に小さな怪物が住むという言い伝えは各地にある。大和吉野の山中には木の子と名づける三、四歳の小児ほどの者がいて、身に木の葉を着ているという。姿は有るとも無いとも定まらないというが、山働きの者が折々油断をすると木の子に弁当を盗まれることがあるので、姿を見れば棒で追い散らすのが常であった。これと同じく、秋田の早口沢の奥に鬼童という者が住むことが、黒甜瑣語三編の四に見えると柳田は記す。土佐の大忍郷の山中に笑い男という十四、五歳の少年が出て笑うという話もあり、こうした偶然の一致には尋ねるべき原因があるという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第4巻(柳田国男・定本柳田国男集)
柳田国男編『定本柳田国男集 第4巻』を全822話・伝説(1見出し=1話)単位で収録(緒言・序・名義・解説・和歌・注は除外/内包)。所在地(郡村区・社寺)を付して集成。