霊華を奪って早池峯を得た末の姫
どんな伝承か
遠野の四方の山々の中で最も秀でたものを早池峯といい、北の附馬牛の奥にある。東には六角牛山が立ち、石神という山は附馬牛と達曽部の間にあって高さは前の二つより劣る。大昔に女神があり、三人の娘を伴ってこの高原に来て、今の来内村の伊豆権現の社のある所に宿った夜、今夜よき夢を見た娘によい山を与えようと母の神が語って寝た。夜深く天から霊華が降りて姉姫の胸に止まったのを、末の姫が目覚めて密かに取り、我が胸に載せたので、ついに最も美しい早池峯を得たという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第4巻(柳田国男・定本柳田国男集)
『定本柳田国男集 第4巻』は、柳田国男の著作を集めた定本の一巻である。岩手県遠野の伝承を佐々木鏡石から聞いて書いた「遠野物語」、山に入った人や神隠しを論じた「山の人生」、河童・ひだる神・一つ目小僧・天狗などを扱い妖怪名彙を付す「妖怪談義」を収める。ほかに「山人考」「史料としての傳説」「比丘尼石の話」「山人外傳資料」「『イタカ』及び『サンカ』」「山民の生活」など、山人・漂泊民・妖怪をめぐる論考を併せる。