京の子どもをさらう藍婆鬼
どんな伝承か
白河院の御代、承暦元年の春、藍婆鬼という鬼が京中に満ち、十歳に満たない子どもの十人のうち八、九人までもがさらわれてしまった。上下を問わず男女の嘆きは深く、それを聞いた帝も心を痛め、その春は恒例の子日の御会を催さなかったという。『源平盛衰記』にこの怪異が伝えられている。
原典より
承暦元年の春、京に現はれた藍婆鬼は十歳未満の小兒を掠つてゐつた。—— 動物妖怪譚(日野巌・日野巌・動物妖怪譚・1926年(大正15年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
動物妖怪譚(日野巌・日野巌・動物妖怪譚・1926年(大正15年))
『動物妖怪譚』は、日野巌が大正六年に筆を起こし、大正十一年の跋と大正十五年の再記を添えて著した伝説の動物の研究書である。鬼・天狗・河童・人魚・雪女・龍・雷獣・狐・狸・獏・鯰・猫など二十六の項目を立て、記紀や万葉集から近世の随筆までの記事を原文の引用ごと示して起源と変遷をたどり、動物学の知識で正体を考える。總論で起原・歴史的変遷・分類などを論じ、結論では迷信から科学へ近づくことを説いて閉じる。