一条戻橋の下に置かれた晴明の式神
どんな伝承か
陰陽師の使う式神は、もとは式占の盤に記された十二神将だと考えられていた。『源平盛衰記』によれば、一条戻橋はかつて安倍晴明が天文の奥義を極めて十二神将を使っていた所で、晴明の妻が式神の姿を恐れたため、晴明は十二神将を呪して橋の下に置き、用のある時だけ呼び出して使ったという。この橋で吉凶の橋占を問うと、必ず式神が人の口に乗り移って善し悪しを示したと伝える。著者は、陰陽道が民衆の橋占や憑霊の信仰を取り込んで呪術化した例としている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
異界巡礼(小松和彦)
『異界巡礼』は、小松和彦が著した民俗学の論集である。狐が人に化ける方法と如意宝珠、蓮如絵伝の異人、鬼退治譚と怨霊、家の盛衰をめぐる民話、夢信仰、巫女と陰陽道、洞窟や龍宮の他界観、人を神に祀る信仰、神隠しなどを、昔話・説話・絵巻・お伽草子と高知県物部村などでの調査をもとに論じる。論考と随想を部に分けて並べ、「民俗のランドスケープ」の部には妖怪、凧上げ、祓い、霜月祭り、呪い人形をめぐる小文を収める。