名田庄に残る安倍晴明の末裔土御門家の墓所
どんな伝承か
福井県大飯郡おおい町名田庄納田終の道のわきに、土御門家墓所の標識が立っている。土御門は安倍晴明の子孫が室町時代から名乗りはじめた姓である。晴明の末裔の安倍有宣は長享二年、応仁の乱の戦禍を避けて京都から所領のあった名田庄へ移り住み、有春、有脩、久脩に至る四代、一一〇年余りをこの地で過ごした。久脩が帰京したのは慶長六年である。四代のうち有宣、有春、有脩の三人はこの地で没し、その供養碑が県史跡「土御門家の墓所」となっている。石垣の上の平坦地に二基の五輪塔と自然石らしい大きな塔が立ち、伝説とは無縁の本物の墓所である。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
村の奇譚 ― 里の遺風(筒井功・民俗・地誌・2018年(平成30年))
『村の奇譚 ― 里の遺風』は、民俗研究者の筒井功が平成三十年に著した民俗探訪記である。修験の里の石室、石風呂と焼き石湯、山中の贋金づくり、箕作りの集団や天幕部落、岩窟に暮らした非定住民、猿と猟師、氷室と風穴、産屋、墓制、安倍晴明の墓、狐憑きと犬神など、各地の村に残る習俗と伝承を、聞き取りと文献の両面からたどる。全十三章で、昭和三十年前後の高知市での見聞から説き起こし、「おわりに」では別の出版社で刊行が見送られた経緯を記す。