荒神社のそばに並ぶ晴明と道満の墓
どんな伝承か
岡山県浅口市金光町占見には、わずかな距離をへだてて安倍晴明の墓と芦屋道満の墓がある。道満の墓は貴船社を合祀した荒神社の南隣にあり、晴明の墓はそこから北西へ一〇〇メートルばかりに位置している。いずれも自然石の中央にその名が刻まれているが、著者はこのような形式の墓石は平安時代にはなかったのではないかと疑う。所在地の占見という名は、陰陽道の占いに由来するという地名説話が伝承されている。晴明の墓と伝える場所は京都市右京区嵯峨をはじめ各地にあるが、いずれも根拠はなく、晴明がどこに葬られたのかは全く不明である。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
村の奇譚 ― 里の遺風(筒井功・民俗・地誌・2018年(平成30年))
『村の奇譚 ― 里の遺風』は、民俗研究者の筒井功が平成三十年に著した民俗探訪記である。修験の里の石室、石風呂と焼き石湯、山中の贋金づくり、箕作りの集団や天幕部落、岩窟に暮らした非定住民、猿と猟師、氷室と風穴、産屋、墓制、安倍晴明の墓、狐憑きと犬神など、各地の村に残る習俗と伝承を、聞き取りと文献の両面からたどる。全十三章で、昭和三十年前後の高知市での見聞から説き起こし、「おわりに」では別の出版社で刊行が見送られた経緯を記す。